mitolab's diary

東南アジアで頑張って生きてる人のブログ

ベトナムで農業を初めて約2ヶ月たっての近況と課題感

10月後半から昨日までおよそ2ヶ月にわたる農場整備がようやく終わった...。荒れ地の草刈りから始めて耕耘、土壌分析、客土、施肥、土中発酵、潅水配管設置、小屋建てx2、各種資材調達、育苗、各種データ取り、関連各所との渉外、播種/定植、etc...本当に大変だった。言葉通じない且つ使える資材も限られる、且つ農業1年生ということで、かなりシビアな状況の中、農家の先輩たちからの指導や、行動力のあるリーダーのおかげでなんとかこなせてよかったとホッと一安心。

でも撒いた種が発芽するまで、定植した苗が順調に育つのを見るまでは油断できない。てかこれからも色々な病気や虫、雑草、天候色々な敵が待ち構えているのでそもそも油断はできないんだけど...。とりあえず振り返ってつらつらと書いてみる。

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新設の小屋(倉庫, 作物調整場, 堆肥場を兼ねる) f:id:mitolab:20161220015606j:plain

新設の堆肥場(エアレーション装置はまた別途作製予定) f:id:mitolab:20161220015609j:plain

堆肥に使う廃菌床 f:id:mitolab:20161220015612j:plain

新設のポンプ小屋と水質浄化タンク f:id:mitolab:20161220015615j:plain

先輩に苦労して作ってもらった配管 f:id:mitolab:20161220015618j:plain

この2ヶ月、日本が如何に恵まれているかを思い知ったなぁと。ほしい肥料も資材も機械も電話一本、メール一本、ボタン1つで手に入るし、ちょっと車を走らせれば大型ショッピングセンターで必要なものは大抵手に入る。しかもどの道具も洗練されてる。

ベトナム社会主義国なためかわからないけど、見事に業種が分けられていて、大型DIYショップみたいなのが無い。ホーチミンはまだいいと思うけど、北部はまだまだ...。特に私が今いるハナム省は、首都であり北部の中心都市であるハノイから車で1時間の地方都市。そこまで田舎ではないけど、便利ではないし、農業が盛んといえるほど資材が充実していない。ビニール系はこの店、工具系はこの店、配管はこの店、っていうふうに1軒1軒まわらないといけないし、在庫もクオリティも店によって違う。少しでもいい店安い店を見つけるのが本当に大変。

クオリティに関してもう少し言うと、ココ(ハナム省)の資材はホント最低限。じょうろなんて、釘で穴空けたの?っていうくらいにドボドボと水が出て来る。これじゃあ植物体に物理攻撃しかけてるようなもんだし、ハンマーなんかも楔(くさび)がついてないので、ヘッドの部分が打っている時にすっぽぬけたりするというマヌケな自体もしばしば。クワとかスコップも同様、且つ柄の部分が適当に切られていて重い。全然洗練されてない。そもそも使う人のことを考えられてない。

播種機を使ったときなんて、ベトナム人は目が点になったように見つめてて、「これいいなぁ俺にも貸してくれ」って顔してたし実際に言われた。ベトナムの農家は手で条蒔きや点播するスタイルなので、メジャーで間隔を確認しながら中腰を維持しなきゃいけない。キレイにまこうとおもうと1時間も2時間もかかってしまう。それが日本の機材を使えば間隔もギアの設定を変えるだけで自由自在だし、普通に立ったまま機材を土の上でころがすだけで10分もかからないという、歴然たる差。

他にも手袋なんかも現地の人は使わないので手は荒れ放題。長靴は流石にあるけど、日本みたく高機能じゃない最低限のもの。

土作りの資材に関しても、できあいの良質な培土なんか無いし、良質な堆肥を販売する肉牛屋や酪農屋もいない(探せていないだけかもしれない)。ミネラル資材なんかも、かなり苦労して探してホーチミンから取り寄せた。が、石灰なんかは良質なものが手に入らなかった。

ということで、ベトナムの、殊に自分らの周辺地域において農業をする上では、道具や資材や機材を充実させることが先決のように感じた。

私も1年前までは四六時中スマフォアプリ開発に携わっていたので、農業xIoTだのスマート農業だのは興味がある。前職で培った技術を活かしたい、早く何か作りたい。そういう気持ちはあるんだけど、上記のような、現場において感じる課題をいくつも見出して、それをどう解決していけばいいのか、どうしたらビジネスにすることができるのか、それぞれのピースを集めてはくっつけてを繰り返して進めていければと、思った。

ちょっと余談。日本でも欧米でもよくagTechとかスマート農業とか言って騒がれるけども、ベトナムを含む東南アジアにおいては、そういう言葉が使われる場面が違うなーと思う。日本なんかはドローンで農場管理とか収穫ロボとか、環境制御ハウス〜とかいってて既に普通に作物が作れる上での省コスト化をどう進めるか、みたいな場面で良く使われる印象。一方で、東南アジアはそもそもどうやったらいい作物を作れるの、とかどうやったら貧しい農家を救えるの、みたいな場面で使われる印象。農機無いのでレンタルしあいましょうっていうサービスとか、農家用のクラウドファンディングサービスとか。

後者は、今この時代だからこそ出来る発想で、とてもおもしろいなーと思う。なんというか、日本を含め先進国が積み重ねてきた苦労を踏み台にして、サクッと飛び越えていくような、超右肩上がりに成長するんじゃないかっていうワクワク感がある。こういうズルいITの使い方こそが、東南アジアの発展を加速させ、世界をより良い方向に導くんだろうなと期待してしまう。UberとかGrab Taxiしかり。日本のいわゆる失われた20年で10代20代を過ごした自分としては、そういうワクワク感を体験してみたいって気持ちがあるんだろうな〜(なぜか80年代の歌謡曲も大好きだし)。だから今自分はベトナムなんぞにいるんだろなーと思ったり。

以上、明日も元気にがむばります。