mitolab's diary

東南アジアで頑張って生きてる人のブログ

とある2年目フリーランスエンジニアが30歳過ぎて旅にでた理由

新卒で入社した前職を辞め、フリーランスエンジニアになってはやくも1年と4ヶ月がたちました。2016年で32歳になる予定です。世間的には最も働き盛りな時期、エンジニア的には35歳定年まであと3年ほどの時期に私は何をしているかといえば、旅にでています。今3カ国目で次はインドに行く予定です。

「うわぁ、30歳過ぎたおっさんが自分探ししてるよ...」私より若い人から見ればそんな感じじゃないでしょうか。親族にはこの歳までふらふらして心配かけて申し訳ない...とは思いますが、それ以外の人にどう思われようがいいんです。説明するのが面倒なので、自分探ししてますって言うのにはもう抵抗が無くなりました。

までも説明は面倒じゃないですね(え)、理由は単純に今後の人生を何のために使うかをリアルな世界を見た後に決めたいと思ったからというのが正直なところです。記事のタイトルへの回答はこれで完了ですね...。以降は全て余談になっちゃいます。

今後、恐らくゆるやかにジョブチェンジしていくと思うんですが、その過渡期にある、いちエンジニアのポートレートとして現状とか気持ちとか振り返りとかを記しておこうと思います。

とりあえず今の状況は?

フリーランスエンジニアとして生計を立てています。2015年の10月から海外を巡りつつお仕事をしたり、自身のアプリを開発したり、現地の面白い人に会ったりしています。せっかくなので観光地に行ってみたりもしています。その状況は随時別のブログで発信しています。この記事を書いている2016年1月時点では、タイ、ミャンマーに続きベトナムに滞在中です。

DotsNest|フリーランサーの世界ノマド日記

ジョブチェンジ先の予定

今は興味があり、社会的にも意義があり、自身のこれまでのスキルも活かせそうで、且つ成長が期待できる分野として、AgTechに注目しています

AgTechというのは、Agriculture + Technology の略で、主に農業分野の課題に取り組むスタートアップ(新興企業)や分野そのものを指します。ただ一言にAgTechといっても、ドローンを使った最適な農地管理を扱うものから、新しいバイオ燃料の生成するもの、ECサイトで新鮮な食品を提供するなものなど割りと幅広いです。

なぜ興味があるのかというと、大学時代に異様なまでに植物に興味を持ち、植物の声を聞こうと思ってオペアンプを組み合わせてアナログ回路を組んでみたり、休学して沖縄本島から約300Km南にある宮古島でサトウキビを刈りつつ自給自足のような生活をしたり、好きな植物をやたらスケッチしたりしていた経験が大きいです。今思えば単純に多感な時期だったとも言えますが、その時の時間も忘れて没頭していた感覚や自然に救われたという感覚が忘れられず、10年たった今も引きずっていて、植物や自然に関わる仕事がしたいと思っています。

社会的にいえば、

人口は各年7760万人ずつ増加しており、2050年には100億に達すると予想される。それと同時に、ミドルクラスは2030年までに倍増すると予想されている。収入が増えると食費支出が増え(エンゲルの法則)、動物性蛋白質をより多く食べる(1ポンドの牛肉に8ポンドの穀物を要する)。経済的に豊かな人びとが増え、食糧と燃料と繊維(衣料)の需要が増えると、専門家の予測では今後35年以内に農業生産、とくに穀物の生産量を今の倍にする必要がある。

via TechCrunch: グリーンテクノロジの新しい女王はアグテック(AgTech)だ

という状況があります。なので投資もこのところAgTechに対して集まってきており、今ではFinTech(金融関連テクノロジ)に対する投資額をしのぐ程に急成長している市場になっています。元々参入障壁の高い市場なので、むしろ今からだと遅いくらいかもしれませんが...。

ジョブチェンジ先を決める上でのポリシー

今後取り組む事を絞る上で1つポリシーのように考えていることとして、開発途上国で先進国が踏んだ轍を踏まないような開発を」というものがあります。そう考えるようになった1つのきっかけは、ちきりんさんのこちらの記事でした。

blogos.com

この記事から

開発途上国は先進国を真似るのではなく、時代や国に合わせた別の道を模索してよりよい発展を遂げるべきだ」

という主張を汲みとったのですが、その主張に私はすごく共感しました。この記事では鉄道の話でしたが、仮にエネルギー(環境)問題でいうと、先進国は既に火力原子力を使って多くの失敗をしてきました。前者はCO2を短期間で急激に増加させ、地球を人や他の動植物が住みにくい環境へと少しずつ変容させていますし(その問題に悲観的/楽観的視点で取り組んでいるのがイーロン・マスクだと思っています)、後者も放射性物質放出による人体への影響や技術の悪用など様々なマイナスの副作用があります。そういった問題を何度も何度も開発途上国で発生させ、後から対策を講じるのは非合理的ですし、地球がいくらあっても足りません。なので、先だってそういった環境問題に取り組んでいる先進国の技術を発展途上国で活かしつつ、別の発展を遂げることは世界的にみて意義があると思われます。

余談ですが、以下のサイトはagtechや開発途上国について幅広く取り扱ってくれていて、重宝しています。

AGRI IN ASIA | アジアの農業の今を伝えるメディア

トジョウエンジン | 途上国のイメージを豊かにするノンストップ・デイリーマガジン

AgFunderNews - At the intersection of agriculture, technology and investment

今の自分が持っている武器は?

過去にIT業界でやってきたといっても、アプリ作ったり簡単なサイト作るとか、簡単な電子工作とかそんな程度で、正直AgTechのコアとなりうる知識やスキルは持っていないと思っています。そもそも大学も文系出身ですし、単に好きでコンピュータを学んできた身です。ただプログラマとしての基本的な思考回路とかプロダクトを作る上での基本的な経験は持ち合わせているつもりですし、フットワークの軽さは20代並だと勝手に思っていますのでその辺はもしかすると武器になるかもしれない...それくらいです。

現状自分には何が必要か?

上記目標を実現するために必要なのは、技術よりもまずは知見を広げることだと思いました。本当にこの分野が自分の持っている技術や興味にfitするのかを見極めたいし、AgTechの世界全体の市場の動きとか、どのくらいの企業がどんなことをしているのかとか知らないことだらけなので、まずはもっと知ろうと。

ではどうやって知見を広げるか?

  • ググる(ネットで検索)
  • よさ気な企業の担当者または個人に会って直接お話しを伺う
  • もしよさ気な企業とマッチすれば就職してみる

上から順に実行してみました(最後以外)。日本じゃなくて海外で。

なんで海外?といえば、今まで何度か海外に出ていて、その時に得られた経験がコスパ高かったからというのと、上記のちきりんさん経由のポリシーも持っていたからでしょうか。それにフリーランスになってからはグローバル化みたいなのを感じることが多かった*1ので、"とりあえず海外"という気持ちが強かったです。

で、基本的には東南アジア〜インド〜アフリカ〜ヨーローッパ〜北米〜南米とかで移動して世界一周して考えようと思っていたわけですが、上記のagtechについて調べてったり人に会ううちに、「もっと学びたい、はやく動きたい...」という気持ちが大きくなってきているので、世界一周なんてしないかもしれません。

知見は効率よく広げられたか?

旅に出るまで

海外にでるまでの目標はとりあえずお金を効率よく貯めること。だったので、とりあえずそれまで拠点にしていた沖縄よりも単価の高い東京に場所を移し、受託開発のお仕事をひたすらしました。幸い前職でほぼiOS開発専門だった、且つ世の中としてはスマートフォン移行の全盛期だったおかげで、アプリ開発者な私としては仕事にあぶれることなく1年と4ヶ月も生きのびつつ、海外に出るための資金も貯めることができました。

旅に出てから

海外に出た当初の方針としては、

  • 自身のアプリを作って固定収入を得る
  • 仕事も続ける
  • 知見を広げる

この3つを同時進行で実行することでした。キャッシュフローを安定させるため、自身のアプリを作る事と仕事を続ける事は決めていました。でも、振り返ってみると、最初の2ヶ月は実質仕事が9割で、自身のアプリが1割、知見を広げる部分は最も重要なはずなのに全くできていませんでした。これは単純に自己管理能力の無さゆえです。

ただ、海外にでたこと自体は正解だなと思えました。リアルな課題や新鮮な情報を具体的に聞けるので、自身がどう関われるかイメージがしやすくなりますし、その熱量を分けてもらうこともできます。あとなにげにいいのは物価が安いこと(ただし東南アジア諸国の場合)。同じ資金でも日本にいるより約2倍長く生き延びられるので。

今後の方針は?

知見を広げることを第一にしたいと思います。ただ、調べるうちにもっと詳しく知りたい、動きたいと思う気持ちが強くなっているので、今後はより分野を絞って、深く学ぶことにシフトしていこうかなと思います。そのスパンが早ければ早いほどいいですが、半年〜1年くらいをめどにしたいと思います。

それと、旅に出て気づいたのですが、数珠つなぎで旅するのは非常に疲れます。まず荷物が重い、その上各国に渡るためのチケット、VISAの手続きも面倒、移動時間ももったいないし疲れる、各種スケジュール調整しずらい、etc...。

なので、私みたいな人にとって、海外に出て何かを探す場合は、拠点になる都市を決めてそこを中心に廻ったほうが得策だと思います。例えばバンコクとかいいです。バンコクだと、

  • 生活コストが日本の1/2(実感値)
  • 東南アジア、南アジアを巡る際にLCCが多数ある(AirAsiaとか)
  • アパートを借りるのに日本みたいな敷/礼金ないし格安だし結構広くて快適

というメリットがあるので、拠点にするには最適です。ということで、実際今はバンコクを拠点にしています。アフリカ大陸だと、、どうなんでしょうね、調べる必要があります。そのまえに資金が尽きる可能性もありますので、固定的にキャッシュを得られる仕組みを持っていると選択肢は広がると思います。

さいごに

半分あきらめて生きる (内田樹の研究室)

こういう文章とか、

古市憲寿さんの著書

とかディストピアなコンテンツはとても好きなんですが、個人的には、これを鵜呑みにしないで反面教師として捉えた方がいいと思うんですよね。というかディストピアにさせないためのコンテンツだと思うので、中立でとか遠目で待つとかじゃなくて動いていくことを大事にしたいので、今後も自分なりに頑張っていこうと思います。

*1) フリーランスになりたての頃、試しにクラウドワークスで仕事をしようと思ったことがあり、見積り資料を作って2通出してみたのですが、どちらも受注には至りませんでした。その時インドやベトナムの企業も見積りを出していました。彼ら(彼女ら)は日本の相場より何倍も安いので、きっと彼ら(彼女ら)が受注したんだと勝手に想像しました。この時「自分は日本だけじゃなくて海外の企業とも対峙していかないといけないんだ」と、個人と世界がものすごく近い位置にあると実感して、日本だけにいてはいけないなという思いが強くなりました。